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―「Blister Pack Voices」というコンセプトは最初から?
Jin:Bohemian Quarterとしてはデモ段階のものを含めてたくさんの曲がありました。その中で10名のVoiceActressとのコラボレーションで1つのアルバムを完成させることが決まったんです。ですから、まず『Blister Pack Voices』というコンセプトで10曲を選ぶことから始めて、その作品が必要とする声、VoiceActresを探したということです。サウンド面では、実際声をのせてみて、更にイメージに近づけるために音を変えたり、デモ段階であった曲を「Blister Pack Voices」に合わせて磨き上げていきました。コンセプトが決まってからは、レコーディングでも1曲ずつ作り込みつつ、アルバムとして総合的にひとつの色合いにすることを同時に考えていました。
―完成した作品を聴かれて?
Jin:それぞれ非常に個性的な曲が並んでいるけど、詞のテーマやサウンドとしては一貫したメッセージとテーマのあるアルバムになったと思います。サウンドとしては、クラブミュージックなんかが近いんじゃないかな。
―作品完成後、ご自身の中での収穫は?
Jin:これは「詞―ことば」も同じかもしれませんが、サウンドの傾向やアレンジも、残念ながら、洋服のデザインと同じように流行り廃りがありますよね。例えば10年前にヒップホップのような音楽は、あまり世の中に浸透していなかったけれど、今はヒップホップであることで、逆に聴く人に受け入れられる音楽になる。だから、自分がいいと思える音楽であることはもちろん、時代が求めているのはどんなサウンドなのかということを常に考えて音楽制作をしています。仮に5~6年前に書いた曲であっても、今の自分がいいと思えるサウンドに変えたり、もう一度向かい合うことで、Bohemian Quarterとして今の音楽シーンに投げかけることのできる音楽になると思いました。だから、これからも作曲家として、ただ流行を追うのではなく、時代を越えて人と分かち合える最大公約数のような部分を探していきたいと思います。
―作曲家Jin NakamuraにとってBohemian Quarterとは?
Jin:普段やれないことがやれるという意味では、“歌”のある曲とは、また違った感動を得られる現場ですね。歌はきちんと旋律や小節や音程などの規則に合わせて動いていきますけど、リーディングはそういった決まりがないから、音楽に合わせて読み手が気持ちをのせて読んでいくわけです。そういった中で、例えば、「PhoantomPain」という曲の「ねぇ 無断で私の部屋に入らないでよ」という詞に続いて、「ある日」と言った直後のタイミングに、自分が偶然ブレイクさせた部分が重なっているんですが、そういった歌では味わえないハプニング、ライブ感の発見が楽しいですね。
―では最後にBohemian Quarterの今後について。
Jin:ライブをやりたいと思っているんですよ。“歌”のあるライブとは違う、“詞―ことばー”のひとつひとつを、緊張感を持ちながら楽しんでもらえる空間を創ってみたいですよね。いわゆる従来の《ポエトリーリーディング》のステージというのは、詩を朗読しているだけですけど、そこに生演奏の音楽が流れていて、弾き手や読み手、そこにいる観客の気持ちが一体化したときには、また新しい体験ができるんじゃないかと思います。
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